旅行の仕事のイロハ ~ローマ字のスペルアウト~

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今回の『添乗員こぼれ話』は添乗のお話ではなく旅行会社のお話をしたいと思います。

私が旅行会社にいた頃、まず最初に覚えるように言われたのが、ローマ字のスペルアウトです。

今回の記事はHaruがご案内いたします。

電話で予約するという業務

その昔、旅行会社では、様々な予約に「電話」を利用していました。

予約時に「人の名前」を使いますが、間違えると予約を取り消されてしまったりするので『間違い防止』に名前をスペルアウトすることがあります。

スペルアウトの実際

例えば…

『ブログ 太郎』

という名前を予約するときにはローマ字を使うと、

『BUROGU TARO』

になります。

でも電話で予約する時に間違えて、

『PUROGU DARO』

になったりしないために、

『ビー、ユー、アール、オー…』

と言っていく手もあります。

しかしアルファベットを読み上げると、ビーディーピーなど明らかに紛らわしいものがいっぱいあります。

そこで、コードで表すわけです。

BBakerベーカーUUncleアンクル、 

と言うように決まっています。

『ブログ 太郎』さんなら、

ベーカー、アンクル、ロジャー、オーバー、タイガー、エーブル、ロジャー、オーバー、ミスター

となります。

ちなみに女性は既婚かどうかは問わないので、『ミズ』と発音します。

このスペルアウトは、予約の時には必須でした。

今はメールやネットが発達しているので使用する機会も減ってしまったのかも知れませんが、私の時代は電話で予約することも多かったので知らないと仕事になりません。

ところで海外のホテルの予約なども国際電話で直接現地に予約するようなことがあれば、このスペルアウト、必要だったかもしれません。

しかし通常、現地のホテルはランドオペレーターと呼ばれる現地手配会社を通じて予約するか、レップと呼ばれるホテルの日本予約事務所に予約することがほとんどだったので、あまりスペルアウトの機会はありませんでした。

スペルアウトの主戦場は航空券予約

最もよく使うのは、航空券の予約をする時でした。

私の時代には既に、JALならAXESS(アクセス)、全日空ならable(エイブル)という、コンピュータの予約システムがありました.

でも、これらは基本的に『ノーマルチケット』の予約システムですからビジネス客の予約にしか使いません。

観光客の皆様は当然、格安航空券を利用しますから電話でチケットを扱う同業者に予約します。

実際の読み上げ方

そんな時に、

「スペルアウトします。」

なんて言いながら、お客様のお名前を読み上げていきます。

ただ日本人なら変わった名前でなければ、全ての名前をローマ字で読み上げるのは稀です。

例えば、『鈴木太郎』さんの予約をするときに、

『シュガー、アンクル、ゼブラ、アンクル、…』ってスペルアウトすることはあまりありません。

大抵は、

『シュガーから、ス・ズ・キ、タイガー、タ・ロ・ウ ミスター』

って感じで読み上げます。

航空券の予約の場合、下の名前「タロウ」はイニシャルで良い時もありますので、

『シュガーから、ス・ズ・キ、タイガー ミスター』

なんて読むのが一般的です。

外国人の場合は指名をスペルアウト

お客様が日本人の比較的一般的な場合はこんな感じで良いのですが、外国人のお客様の場合は基本は全部スペルアウトです。

「ローマ字」じゃありませんから…。

私が勤務していた旅行会社は中国人のお客様が多く、商社などで働くビジネスマンの方が経費の節約でノーマルチケットではなく格安航空券で出張に行くときなど電話での予約でスペルアウトをすることになります。

なんせ、Xから始まる名前とか普通にありますからね。
(^_^;)

新人旅行会社営業マンの憧れ

入りたての新入社員の頃、私の前の席に座った先輩が良くこのスペルアウトをしているのを聞いて、

『カッコいい!』って思ったものです。

なんか流れるようにスペルアウトしているの、素人だとカッコよく思えちゃうんですよね。

(本当は大したことしてる訳ではないのですが…)

初めてのお使い

そして、私にも初めて電話での航空券の予約をする日がやってきました。

私は緊張しながらも、覚えたてのコードを駆使してスペルアウトしました。

『普通の名前の日本人の皆様の…』

それも

『10名くらい』

『スペルアウトします!シュガー、アンクル、えっと、ゼブラ、えー、あっ!アンクル…』

みたいな感じで、「つっかえつっかえ」しながら10名分を読み終えました。

もうスッゴイ緊張の中、それでも読み終えたときには、一種の達成感に酔いしれてました。

新人初舞台の舞台裏では

でも、その後まもなく私の目の前の席の先輩が全部スペルアウトしていたのはお客様が中国人だったからということと、一般の日本人のお客様ならオールスペルアウトなんか誰もしていないということを知り、めっちゃくちゃ恥ずかしかったことを覚えています。

どうりで電話の向こうの方が(優しいお兄さんでした)、声だけなのに苦笑している感があったのを感じたはずです。

きっと…

「ちっ!また、新人にあたっちまった。しかたねぇな、一生懸命やっているし、聞いてやっか…」

ってなところだったんでしょう。

10人分を読み終えて、ちょっと一人前になった様な気になっていただけに事実を知ってホント赤面ものでした。

旅行会社時代に使っていたアルファベット一覧表

ご興味ある方は、覚えてみて下さい。何かの暗号で使えるかもしれません(^_^;)

Able (エーブル)
Baker (ベーカー)
Charlie (チャーリー)
Dog (ドッグ)
Easy (イージー)
Fox (フォックス)
George (ジョージ)
How (ハウ)
Item (アイテム)
Jack (ジャック)
King (キング)
Love (ラブ)
Mike (マイク)
Nancy (ナンシー)
Over (オーバー)
Peter (ピーター)
Queen (クイーン)
Roger (ロジャー)
Sugar (シュガー)
Tiger (タイガー)
Uncle (アンクル)
Victory (ビクトリー)
Whiskey (ウィスキー)
X-ray (エックスレイ)
York (ヨーク)
Zebra (ゼブラ) 

何故か、チャーリーとかロジャーとか人の名前が多いんですよね。

旅行業界以外でも使うスペルアウトのコード

ちなみにこのコードですが、スペルアウトは他の業界や業務でも結構使用しますよね?

アマチュア無線の世界

私は、大学時代にアマチュア無線の免許を取ったとき一度覚えましたが、旅行会社で使っていたのとは微妙に違っていました。

(無線は完全に映画の影響でスキー場で 無線機を使いたいだけのために免許を取りました。)

アルファ、ブラボー、チャーリー、… って感じです。

無線局を開設すると自分の局ナンバーみたいのをもらえますね。

兄はアマチュア無線の部活動をやっていただけあって、開局していました。

よく交信相手に、

「こちら、JR1YHS、ヤンキー、ホテル、シエラー」

なんて言ってたのを覚えています。

何故か、ヤンキーという言葉の響きが今でも印象に残っています。

ヤンキーって何かの蔑称だと思っていたので、こんな世界で普通に使われているのが意外でした。

NATOのフォネティックコードとは

さて無線以外でもいろいろと使われるスペルアウトのコードですが、ちょっと調べてみたら、この世界では『NATOのフォネティックコード』というのが有名のようですね。

NATOは「北大西洋条約機構」のあのNATOです。

軍事用のコードのようですが、かなりポピュラーの様です。

ちなみに『Y』はやっぱりNOTOフォネティックコードでもヤンキーでした。

スペルアウト at 成田空港

さて旅行業界の話に戻りますが、航空券の予約はパスポートと同じ表記が基本なのでローマ字はヘボン式を採用していました。

一般の日本人でも紛らわしい表記の名前でしたらスペルアウトしたりしてました。

そして、このスペルアウトを大量にかつスピーディーにしなければならなかったのが成田空港での搭乗手続きの時でした。

通常は団体の発券手続きはこんな素敵なところではなく階下の汚い事務所っぽいところでした。

団体ツアーの場合、添乗員が全員分の搭乗手続きして搭乗券を発券してもらいます。

そのときにパスポートを航空会社の人に渡して先方のネームリストと航空券面に記載された名前を照合するのに『読み合わせ』をしました。

この時に、先述の『ベーカーから、ブ・ロ・グ、タイガー ミスター』ってのを人数分やります。

多いと何十人分をやるので、これだけで結構疲れます。

100人単位になるともうネームリスト渡して済ませちゃいますが。
(^_^;)

新人くんの目のつけどころ

さて先ほどの私の席の前の先輩は、更に私のミーハー気分を刺激する小技があることを発見しました。

私たち新入社員はコードをまず最初に覚えるように言われ、すぐに普通に使えるようになるのですが、この先輩はお客様にも航空券の予約コードを伝えたりするときにスペルアウトしているのを発見しました。

その伝え方が、旅行業界とは別のコードで言っているのが、妙に『カッコいい!』って思ったんです。

例えば、Dなら、旅行業界コードは『ドッグ』ですが、先輩はお客様に『デンマーク』って言うわけです。

何だか、この『使い分け』が私には、『グッと来た』んです。
(^_^;)

それからは、私もDは必ず『デンマーク』を使うようになりました。
(^_^)

この時期って、仕事のスキルよりこういうカッコよさそうなことに気を取られてること、多かったような…。

こんなどうでもいいことにワクワクしていた仕事、それが20代を捧げた旅行の仕事でした。

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-添乗員こぼれ話

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